そうだ、遅刻防止対策に減給だ! と単純に考えてはいませんか?

bihindtime

あなたのご訪問に感謝です!
人事・労務を通して地域産業の振興に貢献する
群馬県の社会保険労務士 大河内です!

さあ、本日もアウトスタンディングで参りましょう!!

■スポンサーリンク

遅刻が多い社員を何とかしたい!

遅刻が多く、いくら注意しても改めないとき、対処の仕方に困ります。

そんな時、遅刻対策として、例えば1分の遅刻でも30分の減給とか3回遅刻で1日欠勤として取り扱うとか、実際の遅刻時間以上の賃金控除をすればいいんじゃない?と考えることがあるかと思います。

確かにペナルティーを科せば一時的に遅刻は減るかもしれませんが、それは根本的な解決にはなりません。

今回は特に法律的に可能かどうかという側面について考えてみたいと思います。

ノーワーク・ノーペイの原則

働いた分だけ賃金の支払い義務が生じ、働かなかった分については支払義務がないといする考え方をノーワーク・ノーペイと言います。

これは法律上でも認めております。

例えば欠勤。

手持ちの年休も消化しつくし、それでも休まなければならない日は欠勤ということでお給料から欠勤控除されます。

また、休業についても、ある程度お給料が支払われる恵まれた会社もございますが、ほとんどの会社では休業期間中の賃金は支払いません。

これらはノーワーク・ノーペイの原則により合法です。

つまり、遅刻、早退、私用外出、欠勤など不就労については会社はその間の賃金を支払う義務はございません。

ペナルティーとしての賃金控除

働いてない分について賃金を支払わないのは問題なくても、先の例のようにペナルティーとして1分の遅刻で30分の賃金控除が可能か?という問題です。

ズバリ、できません。

なぜなら労働基準法において賃金はその全額を支払わなくてはならいからです。

(賃金の支払)
第二十四条  賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

この場合1分の遅刻で30分間の減給となれば実際に労働していたにも変わらず、労働の対価として30分間分の賃金が支払われていないために違法ということになります。

これはワークであって、ノーワークではないからです。

それでも何にか罰をあたえないと気が済まない!

罰をあたえたい、分かります、その気持ち。

通常の人間関係において「間違いは正さなければならい!」という正義感に溢れすぎる人は面倒臭いだけですが、組織においては間違いは「間違いです!」と正さなければ秩序が保たれなくなる可能性もございます。

減給は違法だから、と会社としては手をこまねいているだけなのでしょうか?

いえ、そのあたり行政も組織の論理を良く分かってらっしゃいます。

・5分の遅刻を30分の遅刻として賃金カットをするような処理は、労働者の提供のなかった限度を超えるカット(25分についてのカット)について、賃金支払いの原則に反し、違法である。なお、このような取扱いを就業規則に定める減給の制裁として法91条の制限内で行う場合には、全額支払いの原則には反しないものである。
(昭和63年3月14日 基発第150号)

・給与規則の当該規定が、30分に満たない遅刻、早退の時間を常に切上げるという趣旨であるならば、労働基準法第91条の減給の制裁として取り扱わなければならない。この場合就業規則中に特に制裁の章等を設けてその中に規定する等の方法によって制裁である旨を明らかにする方が問題を生ずる余地がないから適当である。(昭和26年2月10日 基収第4214号)

つまり、遅刻に対する制裁とする場合は、減給制裁として就業規則に規定することで初めて賃金カットが可能になるということです。

ただし、この場合でも労働基準法第91条の範囲内でということになります。

(制裁規定の制限)
第九十一条  就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

例えば、先の例で「3回の遅刻で1回欠勤とする行為」は、この91条に違反して1日分の半額を超えているので就業規則定めたとしてもできないことになります。

でも、半分以下なら可能です。

まとめ

1分の遅刻で30分の減給、3回の遅刻で1回欠勤は賃金全額払いに反し違法です。

ただし賃金控除については次の2つの条件を満たせば可能となります。

  1. 就業規則において減給制裁の定めがある
  2. 制裁の内容が労働基準法91条の範囲内である

もし上記の条件が揃わないのに賃金控除しているなら、債務が突然降ってくることになります。

あなたのご訪問に感謝です!人事・労務を通して地域産業の振興に貢献する群馬県の社会保険労務士大河内です!さあ、本日もアウトスタンディングで参りましょう!!残業管理...

遅刻への対応は減給制裁だけではなく、昇給、賞与の査定に反映するという方法もございます。

もっとも、遅刻をしないという雰囲気の組織作りをすることが一番重要です。

職場に来たくなるような組織作り!を目指して。

感謝です!

The following two tabs change content below.
大河内延明
群馬県の社会保険労務士です。 お客様の思いを理解し価値あるサービスを提供致するため日々奔走中。企業と職場の明日を支えるため、人事、労務管理、給与計算、助成金、障害年金、立入検査、介護事業所の組織、処遇改善に秒速で対応しながら一度切りの人生を日々ズバ抜けた状態で過ごすためにブログを書いております。 詳しいプロフィールは こちら
スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存
スポンサーリンク